【新型コロナ】サージカルマスクも布マスクも、外側に注意!!

呼吸器ウイルス感染症患者がマスクを着用すれば、

感染を広げるリスクは低下すると考えられている。

 

 

SARS-CoV-2の場合もマスク着用が有効なのかどうかは明らかではなかった。

韓国University of Ulsan College of MedicineのSeongman Bae氏らは、

ソウル市内の病院に入院したCOVID-19患者4人を対象に実験を行い、

サージカルマスク布マスクのいずれも、

患者の咳に含まれるウイルスを閉じ込められないことを示唆する結果を

Ann Intern Med誌電子版に2020年4月6日に報告しました。

 

COVID-19パンデミック

サージカルマスクN95マスクの不足を引き起こし、

現時点では、代用品として、布製のマスクに関心が集まっている

 

著者らはソウル市内の2病院で、

COVID-19と診断されて陰圧室に入院している4人の患者に協力してもらい、

使い捨てのサージカルマスクと、

再利用可能な綿100%の布マスク

SARS-CoV-2フィルタリング効果を評価することにした。


患者1は

61歳男性で、発症から24日の時点で別の病院から移送された。

その時点の診断は肺炎だった。

マスクテスト前に採取された咽頭スワブのウイルス量は7.68 logコピー/mL

唾液のウイルス量は4.29 logコピー/mLだった。

 

 

患者2は

62歳の女性で、発症から4日目に入院し、

その時点の診断は上気道感染症だった。

ウイルス量はそれぞれ、5.42 logコピー/mL、2.59 logコピー/mLだった。

 

 

患者3は

35歳の男性で、発症から5日目に入院。

診断は上気道感染症だった。

ウイルス量は5.98 logコピー/mLと5.91 logコピー/mLだった。

 

 

患者4は

82歳女性で、発症から10日目で入院しており、

診断はARDSを呈する肺炎。ウイルス量は3.57 logコピー/mLと3.51 logコピー/mLだった。

 

 

今回のマスクテストが行われたタイミングは、

それぞれの患者が入院してから8日目、4日目、2日目、14日目だった。

 

ウイルス輸送液として、

滅菌したリン酸バッファー生理食塩水に、

0.1%ウシ血清アルブミンペニシリン1万単位/mL、ストレプトマイシン10mg、アンホテリシンB 25μgを加えた物を用意した。

 

輸送液1mLを含むペトリ皿を、患者の口元からおおよそ20cmのところに置き

①最初にマスクなしの状態で、

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②続いてサージカルマスクを着用して、

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③次に布マスク着用で、

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④最後に再度マスクなしの状態で、

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ペトリ皿に向けて5回咳をするよう依頼した。

ペトリ皿は条件を変更するたびに新しいものに交換した。

外したマスクのまず外側を、そのあとで内側を、

それぞれ別のダクロン製のスワブで擦過し、標本を採取した。

 

4人がマスクなしで咳をした場合に

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ペトリ皿で回収されたウイルス量の中央値は2.56 logコピー/mLだった。

 

サージカルマスクをして咳をした場合には

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2.42 logコピー/mL、

 

布マスクをして咳をした場合には

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1.85 logコピー/mLになった。

 

 4人から回収したサージカルマスク布マスク全てにおいて、

外側からSARS-CoV-2が検出された。

一方で、

内側にもSARS-CoV-2が存在していたのは

患者3サージカルマスク布マスクのみだった。

 

 

結果は、サージカルマスク布マスクも、

咳をするCOVID-19患者からの感染を防げない可能性を示した。

 

インフルエンザの場合には、

感染者がサージカルマスクを着用すれば感染を広げるリスクが低下することが示されていた。

 

しかし、

SARS-CoV-2感染者が咳をした際に生じるエアロゾルのサイズと、

そこに含まれるウイルス量は明らかではなかった。

直径が小さなエアロゾルがサージカルマスクを通過することが示唆された。

 

 

 個々のマスクの表面からまず標本を採り、続いて内側から標本を採取したにもかかわらず、

多くの場合、マスクの外側にのみウイルスが検出されたことについては、

マスクの構造などが関係しているのかもしれない。

 

理由がどうあれこの結果は、

マスクの外側を触った後には、

手の衛生に十分に気を付ける必要があることを示唆する。

 

 

N95マスクは実験に用いられなかった

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