【医薬品情報】気管支喘息の薬 エナジア吸入用カプセル

[処方箋]
エナジア吸入用カプセル高用量 

 1回1カプセル(1日1カプセル)
  1日1回 就寝前 14日

f:id:shaika:20201218192019j:image

 

吸入デバイスとして「ブリーズヘラー」が交付された。

薬歴によると、

これまでシムビコート(一般名ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物)が1回4吸入、1日2回で処方されていた。

f:id:shaika:20201218192143j:image

 

Q1 エナジア(一般名インダカテロール酢酸塩・グリコピロニウム臭化物・モメタゾンフランカルボン酸エステル)に関する記述。

A1 

(1)国内初の3成分配合喘息治療薬である

 (4)規格は、吸入ステロイドの量の違いで2規格がある

 

 

Q2 専用吸入器具であるブリーズヘラーの取り扱いについて

A2

(3)吸入後、カプセルに粉が残っていたので、その場で再度吸入した
 (4)カプセルのシートからの取り出しは、毎回、吸入直前に行う

 

気管支喘息診療は、

「アレルギー総合ガイドライン2019」

に示された長期管理の治療

ステップ1

(吸入ステロイド[ICS]低用量を基本とする)

の患者の45%、

ステップ4

(ICS高用量を基本とし、長時間作用性β2刺激薬[LABA]など複数を併用)

の患者に至っては89%が、

 

治療中にもかかわらず、

症状のコントロールが不十分と報告されています。

 

「喘息予防・管理ガイドライン2018」では、

治療ステップ3から4に該当する、

中用量または高用量のLABAとICSの投与でも

コントロールが不十分な患者に対し、

長時間作用性抗コリン薬(LAMA)

追加治療薬の1つとして推奨している。

 

しかし、

これまで喘息の適応があり、

これら3成分を配合した吸入薬はなく、

複数の吸入薬の使用は

服薬アドヒアランスの低下や

吸入手技の不良につながり、

喘息管理を難しくしていた。

f:id:shaika:20201218192254j:image

 

 

実際、複数の吸入薬を単一吸入器に変更し、

治療効果が向上したとの報告があります。

 

エナジア

(一般名インダカテロール酢酸塩・グリコピロニウム臭化物・モメタゾンフランカルボン酸エステル)は、2020年8月に発売された

日本初のLABA/LAMA/ICS固定用量配合の

気管支喘息治療薬である。

 

エナジアには

中用量および高用量の2規格があり、

モメタゾンフランカルボン酸エステルの配合量が

それぞれ80μg160μgで、

症状に応じてICSの量を調整できる。

 

3成分配合吸入薬としては、

テリルジー(フルチカゾンフランカルボン酸エステル・ウメクリジニウム臭化物・ビランテロールトリフェニル酢酸塩)、

f:id:shaika:20201218192347j:image

ビレーズトリ(ブデソニド・グリコピロニウム臭化物・ホルモテロールフマル酸塩水和物)が

既に発売されているが、

f:id:shaika:20201218192439j:image

いずれも適応は慢性閉塞性肺疾患COPDで、

喘息の適応はない。

 

 

エナジアの吸入器具であるブリーズヘラーは、

患者が吸入できたか確認しやすいよう工夫されている。

f:id:shaika:20201218192549j:image

まず、

使用する1カプセル分をシートから切り離して、

取り出す。

薬剤は吸湿性があるため、

この作業は吸入の直前に行う。

次にブリーズヘラーにカプセルを充填し、

カプセルに穴を開けるために

両脇の緑色のボタンを1回、押して離す。

 

通常、吸入時には「カラカラ」という

カプセルの回転音が鳴る。

音が鳴らない場合はカプセルが

充填部に詰まっている可能性があるので、

吸入器を軽く振ったり弾いたりしてから

再度吸入する。

 

特に冬場は、静電気で吸入器とカプセルが

貼り付く場合があるので注意したい。

 

吸入後はカプセル充填部を確認し、

薬が残っていたらすぐに再吸入する。

 

空になったカプセルは

吸入器具から取り出しておくよう伝える。

 

 

f:id:shaika:20201218192943j:image

【服薬指導】

今回処方された吸入薬は、

3つの成分を含む新しい薬で、 

専用の吸入器具を使って一度に吸入できます。

 

毎回、吸入する直前

1カプセル分をシートから切り離してから、

シートを剥がしてカプセルを取り出し、

吸入器に充填します。

その後、必ず両脇の緑色のボタンを1回押して、

カプセルに穴を開けてから吸入してください。

 

正しく吸入できていれば「カラカラ」という

カプセルの回転音がします。

 

音がしない場合は、

薬を十分に吸入できていない可能性があるので、

吸入器を軽く振ったり弾いたりしてから

再度吸入してください。