フルニエ壊疽
1883年にフランス人医師のフルニエさんが
若い男性に突然発症し、
急速に進行する
外陰部の壊疽として報告したのが始まりです。
今では、外陰部に発生する
壊死性筋膜炎=フルニエ壊疽。
を意味しています。
予後不良な疾患です。
死亡率は16%と報告されています。
50〜70代の中高年に好発します。
90%は男性に発症します。
男性に多い理由は、
陰嚢の皮下組織が層状構造となり、
血流が不十分となって、
感染を生じた際に細菌が増えやすくなるためと
考えられています。
さらに、
基礎疾患のある患者さんに
多いことも分かっています。
特に、免疫不全につながる基礎疾患に
発症しやすいです。
フルニエ壊疽は
進行が早いため、
早めの治療をするためには
迅速な重症度評価が必要になります。
フルニエ壊疽の重症度評価には
●体温
●心拍数
●呼吸数
●血液検査のパラメーター
以上を用いて、点数化した
FGSI(Fournier's gangrene severity)というものがあります。
・・・10点以上=死亡率75%
9点以下=死亡率22%
●年齢
さらに年齢も考慮したものが
UFGSI(Uludag Fournier's gangrene severity)が
FGSIよりも有用なスコアリング(点数化)システムである
という報告があります。
・・・10点以上=死亡率94%
9点以下=生存率81%
治療としては、
●ドレナージ
●デブリードマン
●嫌気性菌との混合感染を考慮した広域スペクトラム抗菌薬投与
●敗血症、DIC、多臓器不全などの状態に応じた全身管理
●洗浄と汚染を防ぐことによる創部の感染予防
重症例の補助治療薬
●2次的な急性肺損傷(ALI)/急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する人工呼吸器管理
●循環動態や呼吸機能改善を目的としたエンドトキシン吸着
●高気圧酸素療法
診断確定までの第一選択薬は
●メロペネム点滴 1回1g 1日3回
●イミペネム/シラスタチン点滴 1回1g 1日3回(添付文書では1日最2gまで)
●ドリペネム点滴 1回1g 1日3回
+
クリンダマイシン点滴1回900mg 1日3〜4回 10〜28日間(添付文書では1日上限2,400mgまで)
●タゾバクタム/ピペラシリン点滴 1回4.5g 1日4回
濃厚な医療暴露歴がありMRSAのリスクがある場合
●上記+バンコマイシン点滴追加