新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規患者数が全国的に減少傾向にあり、各都道府県は出口戦略を模索し始めた。
4月30日以降、新規発症者が確認されていない沖縄県は、
第2、第3の波を見据えて、「沖縄モデル」を策定しました。
また、抗体検査を行うことも決めました。
沖縄県では、5月20日までに延長するとしていた事業者への休業要請を、
一部の施設を除き14日に前倒しで解除しました。
COVID-19の流行状況を4段階に分け、
地域の流行状況に応じた医療提供体制の構築を図っていく(下表)。
各段階に応じた医療提供体制
例えば、
COVID-19患者が散発的に発生している第2段階では、
外来機能を1段階強化し、既存の建物を利用してドライブスルー形式での検査に特化した
「新型コロナウイルス検体採取センター」を設置する。
医師がPCR検査を必要と判断した場合に、
保健所を介することなく検査を実施するための施設で、
現在、5月末までの期間限定で2カ所の検体採取センターが稼働している。
第2段階以降では
入院体制についても、
感染症医療機関以外にCOVID-19患者を受け入れる「協力医療機関」において、
重症度に応じた患者の振り分けを行う(下図)。
なお、現時点で軽症者は宿泊施設での療養を行っているが、
まだ宿泊施設との間で契約を結んではおらず、今後検討していくという。
発症から入院までの流れ
流行の収束後も検査体制を維持し、流行状況を把握することも沖縄モデルの重要な戦略の1つ。
COVID-19の流行当初からPCR検査を推奨する対象者を絞ってきた。
県内で1日に300件ほどのPCR検査が実施できるようになった現在もその方針を維持しており、
重症化のリスクが低い若年者への検査は基本的には推奨していない。
(県が医師向けに示した基準)
診察した医師が病歴や所見から新型コロナウイルス感染症を疑ったときには、
医師の判断によりPCR 検査を提出することができます。
特に、以下に該当する患者に対しては、検査を実施することを推奨します。
なお、症状の無い方について、感染していないことを証明するために検査を提出することのないようにしてください。
■発熱、咳嗽など疑われる症状を4日以上※1認める患者のうち、以下に該当する者
1)重症化するリスクのある者※2
2)妊婦
3)医療もしくは介護従事者
■発熱、咳嗽など疑われる症状を認める患者のうち、以下に該当する者
1)確定患者の濃厚接触者※3
2)2週間以内に流行地域への渡航歴がある者
3)2週間以内に流行地域への渡航歴がある者との濃厚接触者
■周囲に同様の症状を有する者が複数認められ、集団発生が疑われるとき
■呼吸苦の訴え、呼吸数の増加、酸素飽和度の低下、画像検査で肺炎像を認める患者のうち、その原因が明らかでない者
※1 医師が必要と認める場合には、検査実施に4日を待つ必要はない。
※2 高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患の基礎疾患がある者、透析を受けている者、免疫抑制薬や抗癌剤などを用いている者など。
※3 感染している可能性が極めて高いため、できるだけ迅速に実施する。
県全体の感染状況を把握すべく、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の協力を得て抗体検査を実施する。
具体的な検査手法については現在県の新型コロナ対策専門家会議で協議中だ。
また、沖縄県では合わせて社会活動の再開に向けたロードマップを独自に策定(下図)。
「活動自粛」から「段階的な活動再開」を経て「活動再開」へと移行する3段階の行程を提示している。
沖縄県における活動再開へのロードマップ
現在は「段階的再開の目安」である
(1)新規患者数が10万人当たり1人/週未満、
(2)入院患者数が10万人当たり1人未満(入院加療の必要がない軽症者は除く)、
(3)感染経路不明の患者が少なくとも7日間確認されない
──を全てクリアし、段階的な活動再開の局面に移った。
感染経路不明の患者が14日間以上確認されなければ、活動再開段階にも移る。