【新型コロナ】新型コロナウイルス感染疑いの心肺停止患者さんにどう対応するか?

 

心肺停止患者さんに

新型コロナウイルス感染症COVID-19)の

疑いが強いとき。

 

↓↓↓

英国蘇生評議会がステートメントより。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

COVID-19が強く疑われる患者の

蘇生についての要点は以下の通りです。


呼吸を聞いたり感じたりしない

(耳と頬を患者の口の近くに置かない)


・心停止しているかどうか疑わしければ

 胸骨圧迫を開始する


患者のタオルを置き

 救急車が到着するまで胸骨圧迫除細動を試みる


・除細動器の使用で感染リスクは上がらない


・もし救助時にフェイスマスク、使い捨て手袋、

 眼の保護具などの着用が可能であれば、

 着用する


胸骨圧迫を行った後

 石鹸と水で手をよく洗う。アルコール消毒もよい


子どもの心停止で

心肺蘇生(CPR)を行わなかった場合の

子どもの死亡

   VS

心停止による新型コロナウイルスSARS-CoV-2)感染のリスク

   ↓↓

天秤に掛ければ、

SARS-CoV-2感染リスクの方が低いと考えられる

 

 

 


[ポイント]

呼吸確認時に顔を近づけない点、

感染リスクが高いと考えられる場合は

患者の鼻と口を布で覆うという点です。

それ以外は、通常通りの心肺蘇生法をやります。

 

 

種々のガイドラインでも

呼吸の確認については

正常ではない呼吸であれば胸骨圧迫を開始

とされています。

 

 さらに、

米国心臓協会(AHA)

米国救急内科学会(ACEP)などの

複数の米国学会も、

COVID-19疑いまたは確定症例に対する

心肺蘇生のガイダンスを共同で発表しています。

↓↓↓

COVID-19が疑われる患者および確認された患者

における原則を提示しており、

その重要な点は以下3つです。
・プロバイダーのCOVID-19への曝露を減らす
エアロゾル撒布のリスクを最小限にした酸素化、換気を行う
・蘇生の適応、中断について適切かどうかを考慮する

 


絶対に感染させないように

エアロゾル撒布をできるだけ減らす必要が

あるというものです。


具体的な方策
・現場に入る前に、すべての救助者はPPEを着用して接触を防ぐ

f:id:shaika:20200417040408j:image


・病室、蘇生の場には必要最小限の人員のみ入る

f:id:shaika:20200417040607p:image


・救助者の数を減らすために、機械式胸骨圧迫機器が使用可能なら使用を検討(以下、例)

f:id:shaika:20200417035824j:image

※LUCAS心臓マッサージシステム

 

f:id:shaika:20200417040027j:image

f:id:shaika:20200417040103j:image

※コーカンメディカル自動心肺蘇生器 Clover3000

 

・現場に到着する前、または場所を移動する際に、

  引き継ぎ先の救助者に

  COVID-19の状態を明確に伝える


手動換気のデバイス人工呼吸器

 HEPAフィルターを装着する

f:id:shaika:20200417040720j:image

f:id:shaika:20200417040846j:image

※呼吸器用HEPA

 

心停止波形確認除細動を行ったは、

 速やかにカフ付チューブ気管挿管し、

 人工呼吸器に接続する

f:id:shaika:20200417041242j:image


・挿管失敗の可能性を最小限にするために、

 初回成功率を最大にする術者

 挿管方法を選択し、

 挿管時は胸骨圧迫を中断する


ビデオ喉頭

 挿管者へのエアロゾル曝露を

 減少させられる可能性があり、使用を検討すべき

f:id:shaika:20200417041435j:image


挿管前酸素化は、

 HEPAフィルター付きのバッグマスク

 (新生児にはTチューブ)を使用し、

 成人であれば、

 サージカルマスクで覆った

 リザーバー付きマスクで行う

f:id:shaika:20200417041851j:image

f:id:shaika:20200417041854j:image


・挿管がうまくいかず遅れた場合

 喉頭上デバイスによる換気あるいは、

 HEPAフィルターつきバッグマスクでの換気を行う


閉鎖回路に接続した後

 コネクター接続のつなぎ替えを最小限にする


・患者あるいは意思決定代理人と、

 状態が悪化した場合の治療の目標を設定する


・COVID-19患者に対する

 心肺蘇生の開始と終了の適切性を判断する際に

 第一線の医療提供者を指導するための

 方針を策定すべき


・COVID-19患者に対する

 体外心肺蘇生法(ECPR)を支持するデータは

 不十分

f:id:shaika:20200417042839j:image

f:id:shaika:20200417043013j:image


●心肺蘇生の開始の適切性についても触れています。

BMJ(イギリス医師会雑誌)も、

 リスクとベネフィットのバランスをよく考えて

 心肺蘇生を開始するように提言しています。

●呼吸不全含め、臓器不全によって

 心停止に至った場合

 その原因が打開できなければ

 心肺蘇生に成功しても心停止直前の状況に戻り

 再度心停止するだけです。