新型コロナウイルス感染拡大で事務連絡
「0410対応」は薬剤師の職能発揮の手段
2020年4月10日、
厚生労働省医政局医事課と
医薬・生活衛生局総務課は、
事務連絡
電話や情報通信機器を用いた診療等の
時限的・特例的な取扱いについて」
を発出した。
コロナウイルスの感染拡大を受けて、
薬局が
ファクス処方箋を受ける機会が増えている中、
今回の事務連絡に関して
押さえておくべきポイントについて!
──今回の事務連絡により、
薬局が「0410対応」と備考欄に書かれた処方箋の
データをファクス等で受け取ったら、
その患者は
電話等による服薬指導を希望しているということ。
今回の事務連絡は、
薬剤の不正入手を防止する観点から、
電話等による服薬指導を希望する
患者の処方箋は、
医療機関からファクス等で薬局に送付し、
後で郵送等により原本を送付することに
限っています。
つまり患者に処方箋は渡らないということです。
──電話等による服薬指導を希望する患者は、
診察で処方箋が発行される時に
医師にその旨を伝える必要があるということ。
──薬局が、備考欄に何も書いていない処方箋をファクス等で受け取ったら、対面での服薬指導になるということでしょうか。
備考欄に記載がない場合は、
対面の服薬指導での対応となります。ケースにもよりますが、この状況下であれば、医療機関に照会して確認することが適当な場合もあるかもしれません。
電話等の服薬指導を希望する患者の場合は処方箋に「0410対応」と記載することを知らない医師であっても、20年3月19日の事務連絡では備考欄への記載を求めていたので、何か備考欄に記載して送付されるケースはあると思います。その場合は、電話等による服薬指導で対応すると判断しても差し支えないと考えます。ただし、今回の0410通知によるものなのか、それとも20年4月2日の事務連絡(関連記事:無症状・軽症者は宿泊・自宅療養へ転換)で示された軽症患者対応となる自宅療養・宿泊療養かといった確認はしておいた方がいいでしょう。
──医療機関は初診から電話等での診断と処方が可能になりましたが、麻薬と向精神薬は処方できないことになっています。4月10日に厚労省で開催された記者向け説明(ブリーフィング)では、初診では処方できないが、再診でもともと処方されていた患者に関しては、継続的に処方できるとの医政局からの説明がありました。薬局が「0410対応」の麻薬や向精神薬が書かれた処方箋を受け取ったら、患者に初めて処方された薬剤がどうか念のため確認する、必要に応じて疑義照会するということになりますか。
そうした処方箋がどれくらい出てくるかによりますが、薬局における患者の記録で確認できる場合もあるでしょうし、それがない場合は、疑義照会することもあり得ると思います。
──事務連絡では「0410対応」の処方箋を受け取った際の対応として、初めて調剤する薬剤の場合(初めての薬剤でなくても、必要に応じて実施)の留意点ア~エを示しています(以下、原文ママ)。
ア 必要に応じ、事前に薬剤情報提供文書等を患者にファクシミリ等により送付してから服薬指導等を実施する
イ 必要に応じ、薬剤の交付時に(以下の(4)に従って配送した場合は薬剤が患者の手元に到着後、速やかに)、電話等による方法も含め、再度服薬指導等を行う
ウ 薬剤交付後の服用期間中に、電話等を用いて服薬状況の把握や副作用の確認などを実施する
エ 上記で得られた患者の服薬状況等の必要な情報を処方した医師にフィードバックする
アについては、患者の状況によるので、ファクス、メール等で薬剤情報提供文書(薬情)等を送付できれば送って、そうした方法がとれない場合は、電話等により対応することもあり得ると考えます。
そのときの対応を踏まえ、その後の患者のフォローを考えていくことが求められます。 例えば、事前に情報が送付できなければ、イの薬剤到着後には薬情等も一緒に送付しているでしょうから、その時点でしっかり説明してカバーすることが考えられます。いずれにしても、最初に電話等で服薬指導等を行ったことに加えて、その後、どの程度フォローしていくか考えて対応することが、このような状況下における薬剤師としての職能発揮の手段だと考えています。
今回の対応は時限的な措置ですが、電話等による服薬指導に対する取り組み方が、今後の薬剤師としての患者への関わり方を示しているようなものです。薬局が単なる薬剤の配送業者になってしまうのか、薬剤師として患者に寄り添って支えていく存在になるのか、この時期の取り組み方によって変わっていきますし、新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、通常状態に戻った際に、薬剤師の役割が問われていくと思います。
今はこれまでに例のない事態です。薬剤師として従来の経験を活かして、国民が何を求めているか考えて行動していただくようお願いします。
──2020年4月7日に閣議決定した緊急経済対策では、「電話や情報通信機器による服薬指導等を行った患者に対して薬局が薬剤を配送するなどの費用の支援」が、医療提供体制の強化の1つとして盛り込まれていました。こうした支援はいつから行われるのでしょうか。
支援の対象になるのは、国会で2020年度補正予算などが成立した後に実施された服薬指導等になるので、まだ対象ではありません。かかった費用について、薬局が後から申請する形になる見通しで、詳細は追って示す予定です。